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第10章 「蛸包(しゃおぱお)」の誕生。 [四角餃子開発物語]

キマコ 「餃子の種類が増えて仕込みがキツくなりましたね」
タニシ  「まあそう言うな。実はもう一つ作りたい餃子があるんや」
キマコ 「ええーっ。 この前もう打ち止めって言ってなかったですか?」
タニシ 「そうなんやけどの。ひとつだけ諦めきれん餃子があるんや」
キマコ 「何ですか?」
タニシ 「タコ
キマコ 「タコ? ほほぉ。タコですか? そういや前からタコタコゆってましたね」
タニシ 「それとのー。にんにくも使いたいんや」
キマコ  「にんにく? うちはにんにくは入れない、だから匂わないのが売りですよ」
タニシ 「そうなんやけどのー。一つくらいはにんにくをしっかり効かしたのがあってもええやろ」

とどのつまりは好きなんです。タニシ、タコにんにくが。
かくして、四角餃子の最終章(たぶん)ともいうべき、タコ餃子の開発が始まった。
組み合わせの野菜は今回比較的すぐ白菜と決まった。
「四角家」のテイスティ顧問たかちゃんに相談する。
はじめは、北海道の水タコを贅沢にカットして作ってくれた。上品で柔らかくうまかったが、
やはり瀬戸内の真ダコに慣れている我々にとってはプリッとした食感が欲しい。
むしろタコ焼きの中に入ってるチープだけれども、口の中で「あ、タコおった!」って
感じるような食感のうれしい違和感。タコは真ダコにした。白菜、にんにくと相性も良かった。
おろしにんにくをたっぷり使い、さらにフライドにんにくのチップで香ばしさを出そうと思ったが、
試行錯誤の上、入れないことにした。変わりに、ミョウガを加える。
にんにくにおされてとっても控えめなミョウガ君だが、なかなかいい仕事をした。
ミョウガとか大葉とか、春菊とか、その手の薬味的野菜が大好きなキマコさんだった。
タコの餃子はイメージ通り、いやそれ以上に仕上がった。
食感が楽しめるのにジューシーでもある。
にんにくはしっかり入れてあるのにさわやかで後に残らない。

蛸包250.jpg蛸包断面250.jpg

名前は「蛸包(しゃおぱお)」とした。
本来、中国料理でタコは「章魚」と書く。それだと漢字3文字になっちゃうから
日本の蛸の文字で蛸包。四角家の餃子の中で唯一、にんにくを効かせた餃子だ。
実は、タニシの一番のお気に入りなのである。
これで「四角家」の餃子が8種類揃ったのだ。
餃子が増えたため、オンラインショップとパンフレットも作り直した。

タニシ 「よし、武器は揃った。戦闘開始じゃ。宣伝も兼ねて挨拶回りに行くぞ!」
キマコ 「はい!」
ボク   「はい! そうやって餃子が増えて言ったんですね。大変でしたね~」
タニシ 「おおっ! 広報部長のメダカ君やないか! 仕事ほったらかしてどこ行っとったんや~」
ボク  「実はインドで世界メダカサミットがあって・・・今メダカブームでしょ。
     ボク、メダカ繁殖倫理委員もやってるから・・・」
タニシ 「知るか。というわけやから、これまでの記録として四角餃子開発物語書いてくれ。
     これから君の広報の仕事山積みやぞ」

「四角家」の広報部長、ワタクシ白メダカジュリー、久々に「四角家」に戻ってきました。
復帰第一段の仕事が、四角家の餃子ヒストリーともいうべき「四角餃子開発物語」を書く
ことでした。「四角家」のオープン前から入れると約10年間にわたる餃子開発の軌跡です。
これを読んでより四角家のへんてこな餃子に興味を持っていただければウレシク思います。
この話、これで完結したのか、はたまた続くのか。
ボクにもわかりませんが、「四角家」の物語はまだまだ続きます。
「四角家餃子本舗」の未来に乞うご期待!
タグ:蛸包
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第9章 高級餃子 「金包(きんぱお)」の誕生。 [四角餃子開発物語]

「鍛冶屋町ひとくち餃子」は完全に四角家の名物になっていた。
白州森香るハイボールとのセットでお得になる「鍛冶屋町小粋セット」も良く出たが、
プレモルも良く出た。ビールがうまい超達人店としても定着つつあった。

ある日、サントリーの営業担当のたけちゃんがいつになく神妙な顔でやってきた。
いや、彼はどちらかというといつも神妙な面持ちでやってくるのだが、今回はさらに
緊張感漂う雰囲気なのであった。
たけちゃん「実はですね、サントリーから新しいビールが出るんです」
その言い方で、企画ものというか季節限定の「ザ・プレミアム・モルツ」が出たという
のではないなとわかった。これまでのサントリーの醸造家の技術の集大成とも言える
究極の高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」の発売だ。
超達人店の「四角家」にはぜひ導入して欲しいと言う。
「四角家」はオープン以来、ずっとプレモルだ。サントリーさんにはお世話になっている。
しかし、プレモル自体高品質ビールである。
さらに上のビールとなると原価も上がるし売価も上げざるを得ない。うちは小さな餃子屋だ。
2種類もサーバーは置けない。かと言って、ビールはその超高級ビールだけでお客様に
納得していただけるのか。さすがのたけちゃんのお願いも二つ返事でOKってわけには
いかない。後日、件の支店長からもよろしくと。タニシ、ちょっと考えた。
2~3週間後、たけちゃんがマスターズドリームの実際のグラスをもって現れた。
この日のたけちゃん、決めに来たな。いつになく迫力があった。

たけちゃん 「ご検討いただけたでしょうか。これマスターズドリームのグラスです」
タニシ    「かっこええやない! するわ」

ええ~~~~~。グラスで決めるんかい!?
確かに、ビールのグラスとは思えない高級感。品の良いロゴ。しかしやね、そこで決める?
タニシ、実は既に決めてたんだと思う。今度、たけちゃんが来たらお願いしようと。
そう思う。いやそうに違いない。そう信じたい。
「四角家」の意志が伝わるとS支店長からお礼と期待のメールが入った。

「ありがとうございます。ぜひマスターズドリームに合う高級餃子を開発してください」

しょええ~~~~~~。

キマコ 「ボス、大変大変。支店長が高級餃子を開発してくださいって書いてますけど」
タニシ 「そら作らなあかんやろ」

S支店長、おだててのせるのがほんとにうまいっ。すぐ木の登る二人であった。
かくして、高級餃子開発は始まる。とはいえ、高級食材は「四角家」では禁じ手であった。
これまでも餃子は組み合わせの妙を売りにしてきた。高級素材を使ってどや!みたいなのは
考えられなかった。特にフカヒレなんてのは!

案の定、食材選びは難航した。贅沢な素材を使い手間を惜しまず採算度外視で作った
超高級ビールと何だったら釣り合うのだろう。これ見よがしに高級食材持ってくるのも
どうかと思うし、じゃあそうでなくて価値のあるものって?
マスターズドリームの重厚感、深い黄金色の液体。ナンバー1のビール。
それをイメージする食材。黄金色で、高級感にあふれ、ナンバー1、そう、
金メダル級の食材! もうアレしかないやん!
フカヒレ。

フカヒレを調理できるのはたかちゃんしかいない。ややこしいな、たけちゃんとたかちゃん。
早速泣きついた。そこはホレ、フカヒレの入手も下処理も調理もお手の物ですから。
今回は丸投げした。
早々にフカヒレと貝柱で第一段階のあんができた。えのきも入っている。
フカヒレの餃子と言えば、オイスターソースを加えることが多いのだが、そこは
たかちゃん、オリジナリティの部分もよくわかっている。貝柱のスープをベースにしてくれた。
キマコ    「いい感じです。これで少し何か食感があれば」
たかちゃん 「タケノコ入れよか。どうせなら本鷹一味も少しふったらしまるんちゃう?」
キマコ    「タケノコいいですね。お願いします」
そんな感じで食感や味の微調整を何度かして、フカヒレと貝柱の餃子ができあがった。
焼いていると貝柱の香りがすごい。ジューシーでしかもフカヒレとタケノコとえのきの
食感が絶妙な餃子。名前はもうこれしかない。
「金包(きんぱお)」

マスターズドリームと金包.jpg

最高級のビールと金の餃子。
マスターズドリームの発売日に合わせて、金包を発売した。
マスターズドリーム700円、金包6個1200円(イートイン価格)。
どちらも意外と出てる。

金包250.jpg金包断面.jpg

ちなみにタニシ、フカヒレも苦手。
新餃子は四角餃子5つで打ち止め宣言していたタニシに二つも餃子を作らせた
S支店長おそるべし。おかげで大事な作品(宝)が増えました。

次回、「蛸包(しゃおぱお)」の誕生。えっ? まだ作るんかい?

タグ:金包
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第8章 名物「鍛冶屋町ひとくち餃子」の誕生。 [四角餃子開発物語]

ひとくち餃子の話は、実にひとくちでは語れない。
この餃子の誕生は、四角家餃子本舗の歴史上、大きな転機となるのである。

5種類の餃子を作ったタニシは満足していた。
どこにもない、唯一無二の5種のオリジナル餃子。
これ以上餃子を増やすつもりはなかった。お客様や知り合いなど、
もう餃子を増やさないのかとすすめられたこともあったが、流行りものや軽い気持ちで
数だけ増やすようなことは考えられなかった。これで武器は揃ったと
創業当時の思いを現実に、より通販シフトに舵を切る。

ホームページの更新やリニューアルも業者を通していてはスピードも思いも
伝わりにくい。おまけに無駄に費用もかかる。自分たちで管理できなければと一念発起し、
キマコさんが休みの日にwebの学校に一年通いホームページの制作が自分たちで
できるようになった。同時に、勉強のためAmazonや楽天などにも参加する。
ホームページも自分たちでリニューアルし、露出が増えたことで注文も増えた。
オンラインショップの対応や仕掛けに夢中になっているうち、気がつくと実店舗の売上が
落ちて来た。何の対策もできず、ただおいしいものをおいしく提供するだけだった。

そんな時である。サントリー認定「超達人店」になったのは。
「超達人店」はサントリーの樽生ビール「ザ・プレミアム・モルツ」を高品質の管理のもと、
最高の状態で提供できる店の称号である。これまで地味にこだわってきたことが
意外な形で認められたのだ。もともとオンラインショップのために開いた店。
当時は少ないメニュー、最低限のドリンクを高品質で提供すると言うこと以外、イートイン
としての店を拡大しようという気はなかった。
けれども、小さな小さな努力を見ていてくれた人がいるということは正直うれしかった。
ほめられるともっと努力しようと思うものだ。このことが、「四角家」のあり方を
変えた。お客様に楽しく飲んでもらおう。そしてもっと餃子を食べてもらおう。でもって
また飲んで、餃子もさらにつまんでもらおう。特にドリンクへの意識は180度変わった。
当時、支店長をされていたS氏との出会いも大きかった。
超達人店になった「四角家」をいつも激励してくれた。イートインとしての「四角家」を
もっとたくさんの人に愛されるよう今一度努力してみることにした。
新しい看板をつけ、テーブルを作り直して席数も増やした。今までになかった
ハイボールを取り入れるなどドリンクも増やした。
すると、お客様もだんだんと戻ってきた。飲んで楽しんでいただけるお客様が増えた。

あれは忘れもしない、珍しく瓦町の某洋食屋さんまでランチに出かけた日のことである。
タニシ 「そろそろ新しい餃子を作ろうかと思うんやけど」
キマコ 「あれ? もう打ち止めじゃなかったんですか?」
タニシ 「そうだったんやけどの。ふと、アルコールに合う餃子があってもえんかなと」
キマコ 「あ。それ、私も思ってました。ビールやハイボールがすすむような、
     小ぶりでついつい箸が伸びるような・・・」
タニシ 「真剣に考えてくれんかの」
キマコ 「はあ」
思いはあっても新餃子のイメージがすぐにピンと来ない二人だった。

ランチから帰ってすぐ通販のメールをチェックする。
キマコ 「あ。S支店長からメールが来てますよ。何でしょ。読みますよ。えっと、
     『白州(ウイスキー)ハイボールに合う餃子を作っていただけませんか?』 ・・・えっ?」
タニシ 「・・・・・・。おい、どっか盗聴器ついてないか?」
キマコ 「えっと、えっと。なさそうですけど。ウソでしょ? 私たちの会話聞いてた?」

この頃、サントリーは白州森香るハイボールのプロモーションをしていた。
当時のS支店長は、四国でも白州森香るハイボールが普及するよう料飲店に
働きかけていたのだと思うが、恐ろしいくらいのタイミングである。

タニシ 「これは作るしかないやろ?」
キマコ 「俄然やる気がでてきました」
新餃子のテーマは決まった。「白州森香るハイボールに合う餃子」

「四角家」の5種の餃子はそもそも通販で全国に出せる専門店の餃子。
それぞれ唯一無二の味に上品に仕上げてある。
けれど、居酒屋の餃子は違う。飲みがすすむよう香辛料をどぎつくしたり
焼き上げも油っぽく仕上げる。その方がビールがすすむからだ。
アルコールに合うと言ってもそこは「四角家」の餃子。
ハイボールと言っても上質なシングルモルトウイスキー白州のハイボール。
スパイシーながらも上品に仕上げることが求められる。
「四角家」にとっても「白州」というウイスキーははじめて置いた特別なウイスキー。
ハイボールは「白州」だけという時期もあった。
まずは「白州」を研究する。森林のようなさわやかな香り。
ちょっとスモーキー。甘みもある。これにどんな香辛料を合わそうか。
ホワイトペパーでは当たり前すぎる。柚子胡椒は? わさびとか?
タニシは今回の餃子を「四角家」の新しい名物にしたかった。支店長のありがたい
提案には早く応えたかったが、焦らずじっくりと時間をかけた。
名物にするのであれば、どうせなら地元の食材を入れたい。
地元産の香辛料・・・。そこで思いついたのは「香川本鷹唐辛子」だ。
香川本鷹唐辛子は、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際、戦利品として持ち帰り、
そこで活躍した村上水軍に与えたことにより本島など瀬戸内の島で栽培が始まったという
もので、香川の特産物として最古の農産物となる。その甘くさわやかな香りと濃厚な
風味は日本の唐辛子の中でも最高級と言われ、海外に輸出していたほどであった。
ところが、安価な中国産の唐辛子が出回りだすとともに手間もかかる本鷹唐辛子の
栽培は激減した。最近になってそれを復活させようという動きがあった。
早速、本鷹唐辛子を手に入れ、試作の餃子に入れてみる。なかなかいいんでないの?
たかちゃんを高松に呼んで打ち合わせ。たかちゃんにも白州森香るハイボールを
飲んでもらう。
皮は薄くて、一口で食べられるもの。珍包のような甘みがなく、ジューシーで
パクパクつまめるもの。こちらの希望やイメージ聞いて、たかちゃんは頭のなかで
もう味を描いていたようだった。

四角餃子で使っている皮はほんとにおいしいのだけど、今回はとことん薄い皮に
こだわりたかった。手作業に近い工場で作る皮には限界があったので
薄い皮を求めてたかちゃんにいろいろあたってもらった。
ひとくち餃子の皮だけ名古屋の皮屋さんにお願いした。この皮は非常に薄くて
焼くとパリッとした。一口にこだわりたかったので今回は四角い包み方を諦めた。
これも何種類も包んで、一番口当たりのいい包み方を考えた。
たかちゃんの絶妙なバランスで作られたあんは、まさにイメージ通りだった。
豚肉に牛脂を加えることで肉のインパクトがアップ。ブラックペパーを入れることで
他店の一口餃子とは違う感じを出した。そしてキャベツと本鷹一味。
ジューシーで、小さいのにインパクトがあって、本鷹の風味が広がるひとくち餃子が
完成しようとしていた。微調整をして何度も何度も試食を重ねた。

タニシ、名前は密かに決めていた。
「鍛冶屋町ひとくち餃子」
店のある鍛冶屋町という町名も気に入っていたし、皆に愛されるご当地餃子にしたかった。
そして、この餃子と白州森香るハイボールをセットメニューにした
「鍛冶屋町小粋セット」を作った。

小粋セット250.jpgひとくち餃子250.jpg

鍛冶屋町ひとくち餃子は大ヒットする。
雑誌やフリーペーパーで取り上げていただいたのもあるが、何よりこの味は病みつきになった。
種類によって好みが分かれる四角餃子と違い、誰にでも好かれた。
白州も良く出たし、ひとくち餃子もよくおかわりされた。
ただひとつ予想外だったのは、ひとくち餃子がヒットしたことで四角餃子にも火がついたこと。
発売まではこれで圧倒的にひとくち餃子が出るようになるのではないかと思っていたのだが、
これをきっかけに四角餃子も今まで以上に出るようになった。

鍛冶屋町ひとくち餃子はそれまでの四角餃子とはまったく違うコンセプトで作られた。
与えられた課題に応えるドキドキと緊張感は終わってみれば楽しかったし、
充実したものだった。開発の視点が広がったことも大きかった。
正直、S支店長の提案がなかったらここまでのものはできてなかったと思う。
足を向けては寝られない。本当にもう感謝しかない。

ちなみに、発売当時、栽培している人が少なく、安定入手しにくかった本鷹唐辛子。
三木町で農家をしているDEKU農園のDEKUさんに相談したところ、「四角家」のために
栽培してくれることになった。DEKUさんは野菜にとても愛情をかけて育てる方。
実際、作られた野菜はどれも甘くて本当においしい。ご多分にもれず、彼の育てた本鷹唐辛子
と言ったら! 香りはまるでバニラのようで、辛みと風味の豊かなこと!
この本鷹唐辛子を使えることも「四角家」にとては大きな財産。
「鍛冶屋町ひとくち餃子」の価値をさらに高めてくれた。
ほんたか赤見本72.jpg
「四角家餃子本舗」は「鍛冶屋町ひとくち餃子」の発売を機に、新たなステージに上る。
この時はまだ誰も感じてはいなかったけれど。

次回、高級餃子「金包(きんぱお)」の誕生。


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第7章 「牛包(にゅうぱお)」の誕生。 [四角餃子開発物語]

「四角家餃子本舗」がオープンして1年が過ぎた。

タニシ 「4種ゆうのは数が悪いことないか?」
キマコ 「どうでしょう?」
タニシ 「餃子を5種類しよう。これで打ち止め! これまで使ってない食材はなんや?」
キマコ 「豚、鶏、鴨、海老。餃子になりそうなのはもう使っちゃいましたよ。残すは牛ですか」

かくして牛肉の餃子プロジェクトが始まった。
牛肉と合わせる野菜は? これまで使ってない野菜は何だ? そして相性がいいのは?
候補に挙がったのは、白菜、大根、ごぼう、春菊、じゃがいも、セロリ、玉ネギなど。
ただ、ごぼうと玉ネギは山包でサブ野菜として使っている。
キマコさんとしては当初ごぼうを使いたかった。なぜなら、ごぼうは「牛蒡」と書くからだ。
牛を使って牛包だと単純すぎるけど、牛蒡から一字もらうならありじゃないか。
ごぼうで作ってみる。ごぼうと牛は相性はいいけど、あんにするにはもうひとつ野菜を加える
必要がある。マッシュポテトのイメージでじゃがいもを入れる。これも合わなくはないけど
タニシの好みではなかった。ほかのもいろいろ試したがいまひとつ決定力に欠けた。

最終的に残ったのは、大根と春菊。
牛肉は豚や鶏よりも肉を主張する。この強い個性とうまくやっていける助演女優が必要だった。
実際、春菊はいい仕事をした。あの独特の香りと青菜感は今までのどの餃子とも違う。
2人とも春菊は大好きだったので、春菊の餃子は是非作りたかった。病みつき度も高い。
しかし、逆にあの香りが嫌いな人も多いことは否めない。大いに迷った。
結局、春菊は断念することになる。完全に主役を食っていたのだ。
地味な大根は牛肉を立てた。しかも牛肉と調和して自分もいい演技を魅せた。
ペアは大根に決まったが、大根をどう入れるか悩んだ。
みじん切りにしたり、千切りにしたり、おろしたり、はたまた切干大根を使ったり。
しっくりきたのはおろしだったが、食感も欲しい。日々の実験は続く。

牛包の相談もあり、我々はたかちゃんに会いに行く。
ちょうど大阪で餃子のイベントもあった。そこで他県の牛肉の餃子が売られていた。
たかちゃん「参考までに食べてみる? △△牛だって」
タニシ   「食べよう、食べよう」
鶏や豚とは違う牛独特の香り、いや臭み。ちょっと嫌な香りがあった。
たかちゃん「肉の臭みが残るような処理はしないから安心して」
素材選びはもちろんだけれど、どんな食材も下処理には手を抜かない人だ。
食感を出すことにアイデアがつきたキマコさんに
「大根葉入れたら?」とたかちゃん。目からうろこだった。
肉の部位や処理はたかちゃんにおまかせ。現在のイメージを伝えて、あんを完成してもらう。

国産黒毛和牛のモモ肉に上質の牛脂と牛骨スープを練りこんだあん。
これにおろし大根と大根葉を加える。 豚肉とは明らかに違う、牛肉独特の甘み、深みがあり、
なんともジューシー。粗引きのブラックペッパーがアクセントになっている。
ポン酢醤油でいただくと、そう、肉をおろしポン酢醤油でいただいているような。
「牛包(にゅうぱお)」が完成した。

牛包焼面250.jpg牛包断面250.jpg

当時、この新餃子発売間近のブログを書いたせいか発売もしていないのに、
某テレビ局と雑誌から取材のオファーが入った。せっかくなのでその番組の放送日から
発売することにした。幸先のいい牛包のデビューであった。

次回、ご当地餃子「鍛冶屋町ひとくち餃子」の誕生。
タグ:牛包
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第6章 「四角家餃子本舗」オンラインショップ開店。 [四角餃子開発物語]

2009年1月。
実店舗のオープンより一年後、かねてより進めていた「四角家」のホームページが立ち上がる。
それはつまりオンラインショップのオープンでもあった。
当時はあまりNETの知識に明るくなかったので、ホームページのページ立てやレイアウト、
原稿等をキマコさんが手書きで作り、制作はそれを元に業者さんにお願いした。

1月7日に開設すべく、業者さんが準備を進めてくれていた直前の1月5日、
担当の方が慌ててやってきた。

担当  「実は今7日に立ち上げようとテストしているんですけど、注文が入ってきたんです!
      どうしましょう?」
タニシ 「ええっ、アドレスも何もまったく発表してないのに?」
担当  「すいません。テストでアップした時に偶然入ったみたいなんです。横浜の方なんですけど」
タニシ 「どれどれ。おー! シュウサク君やないの!」
担当  「お知り合いですか?」
タニシ 「同級生なんよ」

もちろんのことながらアドレスも発表してないのだけれど、ずっと気にかけてくれていたようで
店を検索してたら偶然テストアップしたタイミングで閲覧でき、購入してくれたのだった。
しかしテスト中のタイミングでつながるなんて奇跡!
記念すべきオンラインショップ購入第一号が同級生とは。思いがけないうれしい出来事であった。
こうして「珍包」「海包」「福包」「山包」の4つの四角い餃子は全国へとデビューする。

4種餃子.jpg

ここまで読んでいただいた方には四角餃子の特異な作り方がわかっていただけた
と思うが、四角餃子には共通するベースがない。
餃子の種類が多数ある店でも、同じあんをベースに入れる食材を変えるだけ、
もしくはトッピングを変えるだけでバリエーションを増やしていることが多い。
なぜなら一つ一つ作り方や味まで変えてしまうと非効率的だから。
それに味をそれぞれ変えるというのは非常に難しい。だからこそ、そこにはこだわりたかった。

まずメインの肉及び海鮮を選び、次にそれに合う野菜を選択する。
そこからその組み合わせを最大に生かした味を考える

だから一つ一つ、まったく違うものが生まれる。
ナンバー1にならなくていい、オンリー1を目指したかった。唯一無二の餃子。
それが四角家の餃子なのだ。

次回、「牛包」の誕生。
タグ:四角家
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第5章 「山包(さんぱお)の誕生。 [四角餃子開発物語]

鶏の餃子を作ることにした、タニシとキマコ嬢。
タニシ 「鶏と合う野菜はなんや?」
キマコ 「なんでしょう? 何でも合いそうですけどね」
迷った時は、キマコ嬢、得意のアレです。
鶏を使った料理を思い浮かべてみる。
鶏の照り焼、鶏のガーリック炒め、鶏のから揚げ、棒棒鶏、鶏雑炊、鶏釜飯、鶏ごぼう・・・。
鶏ごぼう! 早速ごぼうで作ってみる。悪くはないけど、ちょっとごぼうの香りが強すぎるかなあ。
食感もイマイチだし、もうひとつ野菜を入れる? この路線でしっくりくるのは・・・れんこん! 
鶏とれんこん、これいいね。いいけど、しっくりきすぎて驚きがない。
食感を工夫する。れんこんは切り方で食感が変わってくる。すりおろしもありだ。
何度も何度もやってみて、最終のイメージが定まった時点でたかちゃんに発注。
和テイストの餃子。鶏ごぼうとかレンコンのはさみ揚げ的な感じ。
このわけのわからんリクエストにも期待以上で応えてくれるたかちゃん。
たかちゃん「ごぼうは揚げごぼうで入れたらいいんちゃう? 玉ネギを入れて甘みを出したら」
なるほど。これなら香りを残しつつきつくならないし、玉ネギの甘みもいい。
ふと、これもそば皮でまいたらどうだろうと考える。
鶏とれんこん、ごぼうに玉ネギ、これをそば粉の皮でまくと、なんとなく田舎風というか
風情があるというか、山の民宿を思うような・・・。
海の包(ぱお)があるんだから、山の包(ぱお)があってもいいよね。

山包焼面250.jpg山包断面250.jpg

というわけで「山包(さんぱお)」ができあがった。
四角餃子のメンバーはこれで4つになった。
翌年早々よりオンラインショップを立ち上げるべくホームページの準備に入る。

次回、オンラインショップをたちあげる。

タグ:山包
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第4章 路地裏の餃子専門店「四角家餃子本舗」開店。 [四角餃子開発物語]

カフェ文化がない土地にカフェを開き、最初は苦労したが、地道にファンを集めた。
土日や祝日は遠くからものすごい数のお客様であふれたが、平日はそうでもなかった。
今を思えば13年も前にあの場所でスープランチやフォンダンショコラ、パンケーキは
早すぎたかもしれない。それでも4年半かけてやっとその場所で定着しつつあった。
タニシは高松で餃子専門店を開くにあたって、カフェをまかそうと店長候補を指導していた。
その人物は東京のレストランで店長の経験があった。本人は何度も経験を口にするが、
彼には店に対する愛が感じられなかった。結局、店を任せる前にいなくなった。
ちょうど契約更新の時期もあり、心残りもあったが、カフェを閉めた。

四角家店頭300.jpg

2007年、12月22日。「四角家餃子本舗」をオープンする。
タニシが餃子屋を始めたのは、本来オンラインショップをするためである。
四角い餃子を本当にうまい餃子を世に送り出したい、それがタニシの野望だ。
餃子に限らず通販だけで儲けている店はたくさんある。が、タニシはきちんと店を構えて
そこからお客様に向き合える餃子を出したいという信念があった。
路地裏のこの場所は、餃子の販売に決して向いてはいない。
しかも和の趣のお座敷は餃子屋にしては高級感がありすぎる。
しかしながらタニシは皆がそう思うなら、そういう餃子屋があってもいいんじゃないの?
と考えた。そんな偏屈な性格は意図したのか否か後々
「四角家」をブランディングすることになる。

年末に路地裏でイートインのみこそっとはじめたが、
そのうち雑誌やテレビに取り上げられバタバタするようになる。
座敷の掘りごたつ席でゆったり感をたっぷり出しながらも、
しぼりにしぼったメニューは少なかった。むやみにつまみを増やすことはしたくなかったのだ。
が、半年ほどして余裕ができたタニシは新しい餃子を作りたくなる。

タニシ 「そろそろ4番目の餃子作ろうか?」
キマコ 「おっ。何でいきますか?」
タニシ 「同じ食材は使いたくない。豚・鴨・海老・キャベツ・白ネギ・クワイ以外で考えてくれ」
キマコ 「うーん。とりあえず鶏ですか?」
タニシ 「それはとりと鶏をかけとんか?」
キマコ 「たまたまです」

次回、「山包(さんぱお)」の誕生。


タグ:四角家
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第3章 「海包(はいぱお)」の誕生。 [四角餃子開発物語]

かくして、オーナーが食べない「福包」ができあがった。

カフェは「オムライスがおいしい店」と噂になっていた。
なかでも某超大手企業の社長のお母様など、お友達と伊予三島市からタクシーを飛ばして
来てくださるほどのお気に入りようで、本当にありがたかった。
「銀座の有名店よりこちらのオムライスの方がおいしいわ」
お世辞もあろうが80歳を超えていつもペロッと完食していただいていた。

タニシ「餃子専門店やから3種類くらいは欲しいのぉ。海老はどや?」
キマコ「いいですね。豚に鴨に海老」
タニシ「海老と合うんはなんや? ネギか? 白菜か? 前の2つと違う野菜を使いたいのぉ」
キマコ「うーん。白ネギは鴨で使ってるし、青ネギと言うよりもう少し海老を活かしたいですね」

海老の料理も考えたけれど、もう少しシンプルに海老をアピールする餃子を作りたかった。
しかしアイデアが浮かばない。ノープランのまま、いろいろ野菜を試す。
苦悩するなか、キマコさん、持っていた中国出身の料理研究家ウーウェンさんの本を見て
今まで思いもつかなかった食材が目にとまる。
クワイ。
中国料理にちょくちょく登場するクワイは日本の煮シメに使用するものとはちょっと植物的には
違うもので独特のシャキシャキした食感を持つ。これ、いいんじゃない?
まずはみじん切りに、次にたたいて半つぶしで。さっそく試食。
食感はすごくいいんだけれど味がしっくりこない。クワイに合う味が作れない。
タニシ 「クワイ、却下。全然あかん。ほかの野菜でやってみてくれ」
その後もいろいろやってみるが、海老の入った餃子であって、海老の餃子ではない。
作りたいのは海老の海老による海老のための餃子。

そんな折、タニシ、これからのことを相談にたかちゃんに会いに尼崎に行く。
大阪の創作中国料理のお店で海老チリを食べた時だ。
タニシ   「あれ、クワイやない?」
たかちゃん「えっ! クワイわかるん?」
当時おおよそ食材の知識に明るくないタニシから「クワイ」という単語が出てくるとは
思いもよらなかったたかちゃんだった。
タニシ、尼崎から帰るなり開口一番こう言った。

タニシ 「お。大阪で見つけたぞ。海老の餃子はクワイで作ってくれ」
キマコ 「・・・・・・。えっと、クワイはこの前却下って・・・」
タニシ 「そやったっけ? 俺食べたっけ?」
キマコ 「ええ~~~~~~っ!
     この前何パターンか作ったけどクワイは却下って・・・、全然あかんて」
タニシ 「そやったかの?  とにかく決めた。大阪の店で海老チリに入っとったんや。
     あの食感はおもしろい。クワイで作りたい」

ちょっともやもやしたキマコさんだったが、海老とクワイを使った餃子のあん
というテーマでたかちゃんに丸投げする。
数日後、届いた試作のあんに半叩きにしたクワイを加えてまぜ餃子にする。
初めてそれを焼いて食べた時の感動は忘れられない。
こんな味は想像もできなかった。でもこれ以上なんの注文もないくらい完璧なあんだった。
海老のプリプリ、クワイのシャキシャキ、その2つの食感も楽しいが、海老そのものの
甘さや風味がやさしく感じられて、餃子というより蒸した点心のようなイメージ。
このやさしい味をそのままにちょっとしたアクセントにと大葉も加えた。
名前は、「珍包」「福包」に続いて
海を包むと書いて「海包(はいぱお)」

海包焼面250.jpg海包断面250.jpg

中国料理のみならずあらゆる食材や調理法を知り尽くすたかちゃんのおかげで
「四角家餃子本舗」の3つめの看板商品ができた。

餃子と同様に店で出す焼豚の開発も進んでいた。
タニシ 「ラーメンに醤油・塩・味噌があるんやったら焼豚にも醤油・塩・味噌あってもえんちゃう?」
という発送でできた「四角家」の名物の焼豚3種。
3つが味はもちろん焼きあがりの見た目にこだわったタニシ。
しおの焼豚を焼いても白っぽく仕上げるのが一番苦労したというたかちゃん。
そのしおの焼豚は後に「四角家」の92%が注文するほどの人気商品になるのである。

次回、路地裏の餃子専門店「四角家餃子本舗」開店。
タグ:海包
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第2章 「福包(ふーぱお)」の誕生。 [四角餃子開発物語]

相変わらず、カフェのバックヤードでは餃子計画が着々と進行していた。

ドン・タニシ 「餃子専門店やから『珍包』の仲間も作ってやろうぜ。なんか案はないか?」
キマコ    「鴨の餃子とかあったら私食べたいです」
タニシ    「俺は鴨は苦手やけど、作ってみてくれ」
キマコ    「了解!」

と、軽く言ったもののキマコ嬢悩む。
鴨は好きだけれど自分で調理したことはない。
たかちゃんに相談するにも方向性だけはこちらで決めておかないと。
鴨と相性のいい野菜はなんだろう。鴨、鴨、鴨・・・鴨ネギ?
鴨に独特の風味があるから少しくせのある系がいいよね。クレソンとか、白ネギとか。
とりあえず、やってみる。味の感じは? 

当時、ドン・タニシのカフェでは月替わりオムライスというメニューがあり、人気だった。
お客様は喜んだが、月替わりのメニューを考えるキマコ嬢は悩んだ。
けれど、この試練はキマコさんにとってあとあとメニューのアイデア出しに生かされることになる。
オムライスの場合、ソースは何にするかを考えるのではなく、卵を使った料理を考える。
親子丼、お好み焼き、オムレツ、サラダ・・・。
今度はそれをオムライスで作るとどうなるか、という風な感じで。
もともと卵とベストマッチのメニュー、素材と味付けが同じなら合わないわけがない。
ただ、まったくのオリジナルメニュー。レシピがあるわけではないから、
同じ素材を組み立てなおしておいしく仕上げるには、至難の技で、そこからもう一工夫必要だった。
苦労の末、親子丼風オムライス、お好み焼き風オムライス、サラダ仕立てのオムライス、
とろとろチーズのオムライスなど名作が生まれた。

話を餃子に戻そう。
鴨の餃子に何を使う? 鴨の料理って何だろ、鴨のロティ、鴨とクレソンの鍋、鴨南蛮・・・。
クレソンと白ネギをそれぞれ試す。クレソンだと弱いかな。やっぱり鴨南蛮の白ネギくらいの
インパクトが欲しいな。そう、鴨南蛮のイメージ! ならいっそのこと皮もそば粉の皮にしたら?
とにかく案はできた。たかちゃんに相談。
こちらの無理難題にもプロの知識と技で応えてくれるたかちゃん。
「白ネギの甘さがもう少し欲しいから揚げネギも少し入れよう」
国産鴨の手配から鴨餃子のあんまで。希望以上の仕上がりだ。
しかし当初そば粉での製造は皮屋さんが難色を示した。作るのはお手のものだが、
アレルギー原料のため製造に関して考慮しなければならない問題が多々あった。
それでも、たかちゃんの熱心な交渉も伝わり、そば皮も受けてくれることに。

福包焼面250.jpg福包断面250.jpg

元禄時代から届いたネーミング。

名前はどうしよう? 珍しい包み方で「珍包」だから・・・
鴨の餃子は・・・もっと高級なものを入れるイメージ、もしくは食べると幸せになれる・・・ 
そう! 福を包むと書いて「福包」。中国読みにしてふーぱお。
我ながらなかなかいい名前じゃない?とキマコさん。
これは本当に偶然なのだが、この後、ある文献で衝撃の事実を知ることになる。
日本で最初に餃子を食したのは水戸(徳川)光圀だそうで、それは鴨の餃子であった。
そしてその餃子は「福包(ふくつつみ)」と呼ばれていたと。
この不思議な出来事は、はるか元禄の時代からのメッセージなのか?

次回、「海包」の誕生。
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第1章 「四角家餃子本舗」と新「珍包(ちんぱお)」の誕生。 [四角餃子開発物語]

大阪で「珍包」が売れている頃、
脱サラして新たな野望をいだいていたドン・タニシ。
ある日、大阪の店を訪ねた。何を隠そうドン・タニシとたかちゃんは従兄なのである。
そこで初めて「珍包」と出会い、衝撃を受ける。
「何、この形。おもしろいやない」
しかもうまい。この餃子はうまい。さらに言うなら、冷めてもうまかった。

感動覚めやらぬまま、翌年、香川の田舎で自分の店を出す。
カフェだった。なんでやねん!?
ここで昔、会社の部下だったキマコさんを引き入れる。
田舎町に新しい文化を吹き込みたいと作ったカフェ。
当時、そのあたりにカフェはなく、はじめこそ地元の人に遠巻きに見られていたが、
最後には遠くからもファンが車でやってくる店になった。
車を飛ばして街から来てくれるお客様に「ピンポイントアーバン」と言わしめたその店で、
ドン・タニシ、オムライスやパンケーキとともに、なんと「珍包」を提供していた。
カフェで餃子と言えばミスマッチのようだが、「珍包」だからこそカフェでも提供できたのだ。
普通の餃子ならさすがに出せなかったろうし、出そうとも思わなかっただろう。
ここでも「珍包」は固定ファンをつかまえた。

そんな折、大阪では、なんとたかちゃん、思うところあり、「珍包」の店をたたみ、
新たな店などを経営しながら他社へ商品提供やフードコンサルティングの仕事をしていた。

それを知ったドン・タニシ、残念でならない。
会社が充実していくことはいいことだけれど、どうしても「珍包」の存在が頭から離れなかった
ドン・タニシはついに意を決する。

ドン・タニシの野望。
珍包焼き面250.jpg珍包断面250.jpg

「餃子専門店をやるぞ」
美味でしかもオリジナリティあふれる「珍包」を、このまま埋もれさせるわけにはいかなかった。
そこからドン・タニシの餃子修行が始まるのである。
カフェを営業しながら、厨房では餃子の試作が行われていたのであった。

四角い餃子を売りにしたいから、店の名前は「四角家餃子本舗」に決定。
それからは他県に行っては有名な餃子を食べ歩き、取り寄せてみた。
「珍包」をさらにパワーアップさせるために、豚肉はどうする、キャベツの大きさは、
肉と野菜の比率は・・・など、たかちゃん、ドン・タニシ、キマコさんの試行錯誤がはじまった。
だいたい、ドン・タニシとキマコさんがイメージや希望を伝えて、
料理のプロであるたかちゃんが形にしていく。

豚肉は鹿児島の南州農場の上質なバラ肉に決定、キャベツについてはできるだけ香川産。
というのも香川は四季がはっきりしていて、
どの農作物にも言えるのだけれど旬の期間が案外短いのだ。
1年中香川産というのは不可能。地元産が手に入らない時期や、
状態があまり良くない場合はその時期に状態のいい地域のものを仕入れている。
「四角家」が地産地消に固執しないのはそのためだ。
皮は以前、香川で粉屋さんをしていた大阪の専門業者さんに発注。
できるだけ薄く、焼けてパリッと、蒸らすとふんわりした皮。
包んだ時に美しく、口にも入れやすい8㎝×8㎝の皮だ。

何度も何度も試作して、「四角家」の「珍包」が完成した。

●次回、「福包」の誕生。
タグ:珍包
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