その食べ物は生きるためか幸せになるためか
コロナがまん延しだして2年。行政がずっと言い続けてきた言葉がある。「不要不急の外出をひかえましょう」ごもっともではある。では、うちの店は「不要不急」の店なのかと考える。夜営業の店がこれだけ時短や自粛させられることからすると、やっぱり一般的には「不要」と定義されるのだろう。知事や大臣がその言葉を発するたびにずっともやもやしていたのだが、ある時、不図思った。世の中には「生きていくために必要な食べもの」と「幸福感を得るために必要な食べもの」の2通りがあることを。一つは人間生きていると腹が減る、腹が減っては戦はできぬから、何か食べないと生きていけない。とりあえず食べられればいいという腹を満たすことが目的の食べもの。もう一つは、それを食べなくても生きていけるが、食べることで幸福感を得られる、心を満たすことが目的の食べもの。つまり前者は「必要」な食べもので後者が「不要」な食べものと考えると、「四角家」は「不要」の店なのだ。うちの餃子を食べて幸せな気持ちになりたいからお客様が来店されるし、お取り寄せをしてくれるのだ。そういう結論に行き着いてから、もやもやがすっきりした。「不要」だけど、どこかの誰かにとっては「必要」な店。それでいいと思う。僕が目指したいのは、そんな店、そんな餃子。だから「口福包み餃子」。これからもどこかの誰かを幸せな気持ちにできる餃子を作っていきたい。
ホドコサレタラ、ホドコシカエス
変えようと思っていた。13年「四角家」をやってきて、キマコの言葉を借りれば「谷アリ谷アリ、ちょっと山アリ」。あまり大きな谷には出会わなくなったが、たまには大きな山にも登りたいし、海も見てみたい。実際、「四角家」が創業する前の前の店から、この建物も冷蔵庫たちも老体に鞭打って頑張っている。私自身の老朽化も否めない。ビジネスをもっと効率よくシンプルに楽しくしたい。なかなか変革に思い切れないなか、2019年の11月、通販を辞めた。手間と経費がかかり過ぎる。ところが、辞めると決めた途端、そのマイナス材料を解消する提案が来た。のった。通販を再開する。 そしたらコロナだ。3月までは順調だったのに、4月の緊急自体宣言から極端に客足が遠のく。今度は某党の会報誌へお取り寄せ餃子の掲載依頼、5月に入ると関西のテレビ局に紹介されることになり、しばらく店内営業をやめ、ひたすら餃子を作ることに。そんな感じで仕掛けずとも自然な流れができていた。とは言え、売上的にはなかなか厳しいもので、一つ一つの注文がありがたかった。お客様や仲間やいろんな人が見えるところで、また見えないところでも応援してくれたのが、本当に心の支えだった。本気で仕掛けようと思ったのは夏前。今まで変えようと思って踏み切れなかったことをやるのは今しかない。変わらないことも大事だけど、変わる勇気はもっと大事。9月に店内を改装する。外向きな派手な改装ではないけれど、機能優先の大事な基礎工事。協力業者さんも細かいところまで本当に気持ちよくやっていただいた。次にとりかかったのはホームページと餃子のラベルをリニューアル。ブランドを左右する大事な幹の部分だけに、変えたいけれどアウトソーシングすることにずっと不安があった。そこで、かつて一緒に仕事をしたこともある旧友のデザイナーにお願いした。彼ならこちらの伝えたいことを理解した上でよりいいものを作ってくれる、信頼できるからだ。おかげで新しい「四角家」としていいスタートが切れている。 2020年、売上は落ち込んだけど、ずっと前を向いていられたのはこうしてたくさんの人に応援してもらえたから。そんな皆様の気持ちやご支援を無駄にしないよう、そして倍返しできるよう、14年目の「四角家」はますます精進していきたいと思います。
I’m in luck.
年末最後の仕事はブログの執筆。今年を一年を振り返る「四角家」にとっての恒例行事なのだ。 2019年は一年前にも書いた通り、あたためている夢を進めることが目標だった。店のお休みを増やして、その分色々と準備を進めていたのだが、「四角家」の本体を脅かす大問題が起こる。創業以来11年間にわたって「四角家」の皮を作っていただいていた皮屋さんが廃業されるという知らせだった。これは早急に新しい皮を見つけなければと必死に全国の皮屋さんを探す。気に入っていた皮だけになかなか同じような皮は見つからない。四角い皮、特にそばをあつかってもらえるところは厳しく、最悪店を閉めなければいけないかも、という思いもあった。自分は四角い餃子で勝負したい。皮のために三日月型に変える気持ちは毛頭ない。そんななか、灯台もと暗し。地元香川の老舗の製麺所さんが引き受けてくださった。皮のありがたみを感じつつほっとしたのも数ヵ月。こちらも廃業されることに。これほど皮に悩み、皮を研究し、皮のありがたみ、皮の大切さを思い知った年はない。そしてやっと見つけた新しいパートナー(皮屋さん)。あらためて餃子への自信と誇り、そしてまだある進化の余地を教えてくれた。
2019年を表す漢字は?と聞かれれば、迷うことなく「皮」。
そんなわけで、来年こそ、新しい夢へのチャレンジ、再び。 2020年はきっとついてる。なんとなくいい年になりそうな予感。 「四角家」にかかわるすべての皆様に感謝して2019年を〆たいと思う。
MASTER'S DREAM
「マスターズドリーム」は「四角家」で提供している極上生ビールの名称であるが、今日のテーマはビールの話ではない。私は11年前「四角家」を創業し経営しているのであるが、まわりの人は私を様々な言い方で呼ぶ。「社長」「オーナー」「店長」「兄ちゃん」「マスター」。 何と呼ばれても一向に構わないのだが、自分の名刺には「代表」など肩書きをつけない。従業員も少ない小さな店の店主であるからというのもあるが、自分でわざわざ「代表」ですと名刺に入れるのもこっぱずかし気がして嫌なのだ。 「四角家」を始めた頃は、「こんな路地裏で餃子屋?」「御座敷席で餃子?」「メニューはこれだけ?」などと心配されたり変人扱いされたり。それでも自分の信じるこだわりだけは曲げず、結構苦労もしたが、お客様やまわりの皆様に助けられながら成長を続けてこられた。お店で餃子や焼豚、蒸し鍋などを提供しながら、お店でもオンラインショップでも商品の販売も拡大でき、自分としてはそれなりに満足している。このまま地道に伸ばせて行けたらと思うのだが、実はほかに新しくあたためていることがある。もう若くはないし、最後の挑戦をしたい。来年はそろそろ重い腰を動かしたいと思っている。それが、私の夢。つまり「マスターの夢」ということで、2018年を閉じたいと思う。決して大きなことではなく、小さなことですが、私のライフワークになればと考えている。追って報告します。最後になりますが、2019年、自分も含め皆様が健康で楽しく過ごせますよう心からお祈り申し上げます。
オオキニ金太郎
「四角家」を始めてから10年、がむしゃらにやってきた。そして10年目となった2017年は小さいながらもこれまでの記録を数々塗り替えた。特に新しい試みはないが、例年なら伸び悩む8月末から11月に逆に大きく数字を伸ばせたのが勝因だ。本当にありがたいことでただただ感謝しかない。「今のご時世、飲食店は長続きしないのに10年もすごいね」と言ってくださる方もいるが、30年も50年も続けているお店もたくさんある。そんなお店からするとたった10年と笑われるだろうが、自分としてはよくがんばったと思っている。10年の節目を迎えて、まだまだ未熟なんだと気づかされることもあったが、10年やってやっと「餃子屋やってます」と胸をはって言えるようになった気がする。数々の困難を乗り越えてここまでやってこれたのは、「四角家」を気に入って来てくださるお客様と、これまでずっと支援してくださっている皆様のおかげです。「四角家」にかかわるすべての皆様へ心から感謝の気持ちを込めて「オオキニ」。 ちなみに「オオキニ金太郎」とは、僕が30年以上前に友人と麻雀をして勝った時にテンションあがって思わず飛び出た渾身のギャグです。その昔、大木金太郎なる頭突きが必殺技のプロレスラーがいて・・・この辺にしときましょう。ギャクを説明するほど恥ずかしいものはないですから。 そんなわけで11年目となる2018年は新しいチャレンジもしてみたいと思う。これまでしてもらったことはちゃんと何かで還元しなくては。「オオキニ」という気持ちを胸に、何かヤラカシタイ。
Sometimes the best gain is to lose.
今年は本当に辛抱の年だった。私的な事情で店をお休みしたことも結構あったにもかかわらず、記録づくめの昨年には及ばないものの、それなりに結果を残せた。「四角家」を愛してくれるお客様とサポートしてくださるすべての方に感謝したい。そんな1年の中で強く思ったことがある。「ソンしてトクとれ」。商売をしている人なら誰でも心がけるありふれた故事成語であるが、今年はそれができず強く悔んだことがあった。お客様にはもっと喜んでもらおう。そして人とのつながりを大切にしよう。ソンしてトクとれ。これが2017年のテーマです。
SDK(しんぼうできる子)。]]>
どこまでが年末でどこからが新年か整理もつかないままに 始まった2015年だったが、終わってみれば「四角家」8年の 歴史の中でとても重要な年になった。まず、オープン時から
扱っている「ザ・プレミアム・モルツ」を 「ザ・プレミアム・
モルツ マスターズドリーム」に変えたこと。
「四角家」は餃子はもちろんだが、生ビールがうまい店とし
ても定評をいただき定着してきた。それでも一種しかない
ビールをさらに高級ビールに変えることは少々勇気のいる決
断ではあった。けれどそれは店の方向性と合致する。そして
このビールを導入するタイミングで初の高級餃子、フカヒレと
貝柱の「金包(きんぱお)」を発売したのである。さらに秋に
はかねてから念願だったタコの餃子「蛸包(しゃおぱお)」
も発売。一年の間に新しい餃子を2つも開発したのはもちろん
初めてのことだし、我ながらよくやったと思う。無我夢中に
やって、気がついたら過去の記録をいろいろと塗り替えた、
それなりに充実した一年であった。
たくさんのお客様と「四角家」を温かく応援してくださるすべての皆様に心から感謝したい。 そして、2016年のテーマは辛抱。さらに皆様に愛される「四角家」になれるよう地味な努力を積み重ねていくことを、今年の課題としようと思う。瀬戸大也がYDK(やればできる子)なら、僕はSDK(しんぼうできる子)。 になる(笑)。皆様のご期待を裏切らないよう、努力を惜しまず、少しでも多くの皆様にハッピーをお届けできるよう頑張ります。