ドン・タニシ、ヨガ始める。

ドン・タニシ　「キマコ君、健康に気を遣う四角家餃子本舗としては
　　　　　　　　　前々から何か始めたいと思っとったんやけど。
　　　　　　　　　ズバリ、９月からヨガを始めたいと思う」
キマコ　　　　「は？　ヨ、ヨガですか？　」
タニシ　　　　「異議申し立てがあれば述べよ」
キマコ　　　　「ええと。ボスと一番対極にあるスポーツではないかと思われますが」
タニシ　　　　「・・・。そんな気がせんでもないが、信頼するカイロプラクティックのK先生にも
　　　　　　　　マッサージのY先生にもヨガ勧められたら、ええような気がするやないか」
キマコ　　　　「まあ確かに。ヨガですか・・・」

ヨガと言えば、キマコさんには苦い思い出があった。
あれははるか遠い大学時代。当時から体は固かった彼女は、何か定期的にスポーツでもと
ヨガの市民講座に通っていた。
今でこそヨガと言えばOLのオシャンティな習い事のようだが、当時はどちらかと言えば
激しいスポーツができない高齢者のための健康法的なイメージが強く、
その講座の生徒はキマコさん以外ほぼ50代以上だった。
ある日、円の中心にいたT先生がおかしなことを言い出した。
先生　「私の師は座禅を組んだまま、1メートルも宙に浮くことができるんです。
　　　　　私も皆さんに催眠術をかけることができます。
　　　　　例えば、私が催眠術をかければ、直立不動のまま棒のようになって後ろに倒れます」
非科学的な話は基本的に信じないキマコさん、またうさんくさい話だと思っていたら・・・
先生　「では、実際にお目にかけましょう。でも、これは運動神経が良くて、
　　　　　しかも頭のいい人でなければかかりません。はい、あなた！」　　　　　　　　　
気がつくと、キマコさんの鼻先に先生の人差し指があった。
まるで喪黒福造に指差されたくらいの衝撃である。しかたなく前に出る。
これでかからんかったら、私アホみたいやん！
目をつぶって立っていると先生は目の前で手を動かしながら何か唱えている。
先生　「さあ、後ろへ倒れてみなさい。大丈夫。私が支えるから安心してバタンと倒れなさい」
支える人がいるとわかっていても、人間棒のように倒れられるわけがない。
もちろん、催眠術にかかっているはずもない。気まずい雰囲気の中、
先生　「今日はうまくいかないようですね。またの機会にお目にかけましょう」
皆の目が「ああ、あの子アホなんや」と言ってるようだった。それがヨガとの出会いだった。
数年後、某宗教団体によって日本を震撼する大事件が起こった時、
ニュースで流れたその団体のマークに見覚えがあった・・・。
似ていただけかもしれない。真偽のほどは未だ持って定かでない。

とにもかくにも、やると言ったらやるドン・タニシ。
キマコ嬢と二人、ヨガ教室の門を叩いたのだった。
先生は、香川ヨーガ同友会主宰の倉本英雄先生。香川でその名を知らない人はないというくらい
著名な先生だ。特に香川にヨガを普及させた功績は大きい。
そのお人柄にもファンが多く、先生の教室の生徒さんはほとんど継続するので
キャンセル待ちだったりするのだが、いろいろ探してると店から近い商店街の会場で
ちょうどいい時間帯の講座を見つけ、早速参加することにした。

はじめてお会いする倉本先生は、意外と華奢で小柄な方だった。
著名な先生なのだが、そんな雰囲気はみじんも感じさせず、
とにかく柔和でやさしい方だった。煩悩がないというか、
かといってストイックな緊張感はなく、
すべてを超越したからなのか、ただただ穏やかな印象だった。

ヨガマットを敷いたホールの中心に先生。
教室が始まると先生は急に引き締まった顔に変わった。
90分。ゆっくりとした体の動きと呼吸を合わせる。
先生は動きの説明や意味をずっとしゃべってる。
ヨガの技術的なことから精神、そして医学の知識までものすごい情報量だ。
体にいいだけでなく、勉強になる。
すべてがシンプルでゆるやかな動きなのに90分終えるとじんわり汗をかく。
しかも全身が軽くなったようで足の裏までポカポカしている。
おそるべしヨガ。これは体に良さそうだ。終わった後は、生徒さんたちが握手で歓迎してくれた。


●教室の中央に置かれた光マンダラに興味を示すドン・タニシ。「見る目がありますねぇ」と目を細める倉本先生。


　ドン・タニシ　「目標！　肩こり、首こり解消！」
　キマコ　　　　「目標！　６キロ減！」

　それぞれの思惑のもと、ヨガ生活が始まった。
　目標は達成できるのか、乞うご期待！


●店に戻って瞑想するキマコ嬢。

タグ：ヨガ