マツウラさんのネギ。 [マツウラさんの有機野菜]
包丁を入れると、パキッと小気味の良い音。
ぐるぐる巻きにした糸がプッとほどけるように、そのネギの巻きがはじけた。
何でもすぐかじってみるキマコさん。
「あ、甘い」
新鮮なネギだけが持つすがすがしい香りがした。
その日の朝、レフティ・マツウラは掘りたてのネギをひとかかえ持ってきた。
レフティ・マツウラはドン・タニシのテニス仲間である。
サウスポーなのでドン・タニシが勝手にそう呼んでいる。
大変な勉強家で、退職後、有機栽培を熱心に勉強しているらしい。
四角家でも福包(ふーぱお・鴨とネギの餃子)に白ネギを使っていることを知り、
希望にそえるものを栽培しようかと申し出てくれた。
「有機栽培」という言葉は、近頃世の中にあふれているけれど、
実際の作業はそれほど簡単なものではない。
化学肥料や農薬を使わず、安全でおいしい野菜を作ることがどれほど難しいことか。
何年もかけて土を作り、畑を作り、そして日々手間と愛情をかけて野菜を育てる。
気の遠くなるような作業のなかで人は自然の摂理を学ぶ。
農業という仕事がいかに崇高な仕事であるかを思い知らされる。
実際、レフティ・マツウラも屋島に上って集めた落ち葉で堆肥をつくり、
それから土を畑を作っているそうだ。
これだけのネギを育てるのに、いったいどれだけの時間と労力を費やしたのだろう。
大量生産はできないけれど、いつかレフティ・マツウラのネギが
四角家の福包をさらにおいしくさせる日がくるのかもしれない。
その日をとても楽しみに待っている、鴨が苦手なドン・タニシであった。
ええーっ!! 鴨の餃子、四角家のウリなのにー!!
2009-02-01 20:31
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