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サントリー美術館コレクション「たのしむ日本美術」行ってきました。 [超達人キマコの「プレモルで行こう!」]

店が休みの日曜日、サントリー美術館コレクション「たのしむ日本美術」を観に
香川県立ミュージアムに行ってきました。
10月5日から始まったこの展覧会では、東京ミッドタウンにあるサントリー美術館から
珠玉の日本美術コレクションが展示されています。
この貴重な作品群を一人でも多くの人に観てほしいと思い、このレポートを書いています。
学芸員さんのような学術的な説明はできませんが、
私の感想で行きたいなと思ってくれればうれしいなと思います。

尾形乾山350.jpg
●尾形乾山作・尾形光琳画 「銹絵雪景富士図角皿」  乾山は光琳の弟。色紙をかたどった器は陶工である乾山の真骨頂。兄の絵付けによる共作も少なくない。

まず、今回の展示のことをお話しする前に、サントリー美術館のことを少し。
サントリー美術館は1961年に設立。文化事業の一環としてサントリーの創業60周年を記念して
発案されたそうです。古美術を扱う美術館の多くが戦前の実業家の収集品であるのと異なり、
戦後に一つのテーマを持ってゼロから収集されたコレクション。
「生活の中の美」をキーワードに伝統にとらわれない収集と企画展示をしている、
ユニークな美術館です。
サントリーという企業は早くからメセナに取り組んできた企業ですが、
音楽ホールとして世界的にも評価の高いサントリーホールといい、サントリー美術館といい、
表面的な社会貢献ではない、文化への本当に深い造詣を感じます。

タニシ.jpgキマコ200.jpg
●東海林太郎? いえ、ドン・タニシです。

今回の特別展は、瀬戸内国際芸術祭2013連携事業として開催されるものです。
サントリービア&スピリッツ(株)四国支店の実藤支店長が浜田香川県知事に直接ご提案して
実現しました。実藤支店長は思いついたことを自らどんどん実行される方で、
私などが言うのも失礼ですが、大胆な行動力をお持ちかと思えば、
私ども飲食店にもいろいろ配慮してくださり、ブログにコメントまでくださるなど
本当に大胆かつ細心なリーダーです。決して「よいしょ」ではないのですが、
こういう支店長さんがいるからこそ我々取扱店もがんばらないと!と思うのです。

うどん300.jpg
●「四条河原風俗図巻」一部  当時のうどん店の様子。おっちゃんが生地をのばして、おばちゃんがカットしています。

さて、前期展では5つの章に分けて78点の絵画や工芸品が展示されています。
「もてなす 器の美」
「祝う 歓びのかたち」
「愛でる 和ガラスの煌めき」
「しつらう 空間の彩り」
「装う 女性たちのモード」
重要文化財や誰もが知る著名な作家の作品から無名の作品までありますが、
テーマごとの展覧がとてもわかりやすくて、古美術はあまりよくわからないという人にも
純粋に日本美術をたのしめる並びになっています。
中でも私が一番興味深かったのは、江戸時代の吉原や京都の四条河原を描いた風俗画。
遠近感の微妙な俯瞰で描かれた図巻もので、三味線をつまびく遊女やら、客がとっとと
寝てしまってひとり泣き崩れる遊女やら、各部屋ごとの情景がまるでドラマのように
描かれています。特にどんちゃん騒ぎしている部屋の様子が障子越しの
シルエットでぼおっと浮かび上がる描写はすばらしい。

また、街の様子が描かれたものでは、人々が楽しそうに踊っている傍らに
乞食が座っていたり、庶民の親子連れがいたり、いずれも表情が豊かで臨場感が
半端ない。一つの絵の中に、その名の一人一人に物語があるのです。

化粧箱.jpg
●「燕流水蒔絵化粧箱」 明治時代 19世紀後半の作品。 今でこそメイクのプラスチックケースは当たり前だが、こんな頃にこんな立派なものが。

また、漆器や女性が使う櫛や化粧箱などの工芸品も本当に美しい。
デザインが美しいだけでなく、やっぱりひとつひとつに物語や情景が見え隠れする。

久しぶりの展覧会で、改めて日本人の感覚、技術はすごいと思いました。
写真やビデオ、現代は誰でも簡単に情報が発信できて伝えられるけれど、
ツールがない時代の方が豊かじゃないか。

純粋に感動できる古美術コレクションです。
展示替えする後期展も、もちろん行きます。
みなさんも、コレクションの中に物語をたくさん見つけに行ってください。

 たのしむ日本美術ポスター.jpg瀬戸内国際芸術祭2013連携事業
 サントリー美術館コレクション 「たのしむ日本美術」

    会期●2013年10月5日(土)~11月17日(日)
     ※期間中展示替えがあります。
    前期●10月5日~10月27日、後期●10月29日~11月17日
 開館時間●9:00~17:00
    会場●香川県立ミュージアム
   休館日●月曜
   観覧料●一般1000円、高校生以下無料
  開催要領及び、記念講演会の申し込み



タグ:美術
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コメント 2

サントリー実藤

お誉め頂き恐縮です。またサントリーコレクションの美術品に学芸員顔負けの解説を頂き本当にありがとうございます。
サントリー美術館を香川県に招致して、サントリー製品の売上にどれだけの効果があるのか分かりませんが、ただ瀬戸内国際芸術祭が現代アート中心の中で、その対比として日本の古美術の美術展を開催する事に意味があると思ってます。できるだけ多くの方にサントリー美術館コレクション展を鑑賞して頂きたいです。
by サントリー実藤 (2013-10-07 22:34) 

白メダカジュリー

すばらしい展覧会をありがとうございます。
美術は好きですが古美術に明るくない私が、こんなに楽しく鑑賞できるとは、正直来館するまで思いもよりませんでした。日本の古美術のおもしろさ、及びサントリー美術館のアイデンティティに触れられたことは私にとって、とても価値ある発見でした。うまく伝えられませんが、できるだけ多くの人に鑑賞していただき、感動してもらいたいと思います。
関係者皆様に感謝したい気持でいっぱいです。


by 白メダカジュリー (2013-10-08 13:02) 

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